NPO法人を“続ける”ということ|運営で大切にしている4つのこと

- NPO法人を立ち上げたものの、この先どう続ければいいのかわからない
- 人手や資金が足りず、思い描いた活動ができない
- 周りと比べて「自分たちの活動は小さい」と感じて落ち込んでしまう
NPO法人は「設立したらゴール」ではなく、そこからが本当のスタートです。
実は設立よりも“運営を続けていくこと”の方がはるかに難しいということ、知っていましたか?
この記事を読んでいる方の多くは、これからNPO法人を立ち上げようとしている方、またはすでに運営中で今まさに壁にぶつかっている方ではないでしょうか。
執筆者は、NPO法人設立専門の行政書士であり、現役NPO法人理事長です。
そんな方のお役に立てればと思い、これまで実際に経験してきた失敗・学び・工夫を、リアルな声としてお届けします。
この記事では、NPO法人の運営を続けていく中で、私たちが大切にしてきた4つの工夫と意識を紹介しています。
この記事を読むことで、NPO法人を無理なく続けるために、現場で実践してきた具体的な工夫と考え方がわかります。
NPO法人の継続には、特別な力ではなく“日々の小さな積み重ね”が何より大切です。
自分たちの活動を信じて、焦らず着実に歩んでいきましょう。
「立ち上げ」より「続けること」のほうが難しい
まず最初に大きな壁になるのが「お金」です。
NPO法人は、財団法人や株式会社のように資産要件や免許税が不要なため、比較的気軽に設立できます。
ですが、それが思わぬ落とし穴にもなります。
設立したあと、活動を継続するには「お金」が不可欠です。
資金が不足すれば、活動の内容や規模がどうしても制限されてしまいます。
皆さんも、資金面で悩んだ経験はありませんか?
さらに、資金力が限られるNPO法人では、ボランティアの力を借りる場面が多いと思います。
しかし、いざ活動を始めてみると「人手が足りない!」という状況に直面することも少なくありません。
私自身も設立当初は、お金も人手も足りず、本当に苦労したのを今でもよく覚えています。
私たちが大切にしている4つのこと
正直に言えば、今でも私たちのNPO法人に大きな余裕があるわけではありません。
けれども、「困っている」という状況でもありません。
その理由は、これまで活動を続ける中で、さまざまな工夫や意識を積み重ねてきたからです。
ここでは、その中でも特に大切にしている4つのことをご紹介します。
1.社会を巻き込む
NPO法人の活動は、自分たちだけの力では限界があります。
活動を継続し、さらに発展させていくためには、社会全体を巻き込む姿勢が欠かせません。
私たちのNPO法人では、株式会社や合同会社、社会福祉法人、任意団体、高等学校、大学など、さまざまな組織と連携し、一緒に活動しています。
たとえば、株式会社や合同会社からは活動拠点を無償で提供していただいたり、学校と提携し、学生たちにボランティアとして参加してもらったりしています。
このように社会を巻き込むことで、資金不足や人手不足といった課題も、自然と解消に向かっていきます。
また、活動の輪が広がることで、より多くの人に活動の意義が伝わり、新たな協力や支援が生まれるきっかけにもなります。
2.メンバーに役割を持たせる
私たちのNPO法人では、まずボランティアの中からリーダーを選出し、チームの中心として活動してもらいます。
そのうえで、すべてのメンバー1人ひとりと向き合い、「何をしたいのか」「何を叶えたいのか」という気持ちを丁寧に聞き取ることを大切にしています。
そして、その人の興味や得意なこと、希望に合った役割を用意します。
たとえば、イベントの企画が好きな方には企画担当を、SNS発信が得意な方には広報担当をお願いする、といった形です。
こうした役割づくりによって、メンバーは活動へのやりがいをより感じられるようになります。
その結果、組織全体がスムーズに運営され、法人としての成長や活動の継続にもつながっていきます。
3.お金がなくても、今できることから着実に始める
資金がない中でも、今あるものでできることから着実に始める意識がとても大切です。
一見当たり前のように聞こえますが、実は意外と難しいことでもあります。
NPO法人の設立当初は、「こんな社会にしたい!」という熱い想いにあふれています。
けれども、初期段階では資金力も社会的な影響力もまだ限られているのが現実です。
それでも、心配はいりません。
まずは目の前の1人を支援するところから始めれば良いのです。
その一歩一歩の積み重ねが、やがて大きな社会の変化へとつながっていきます。
私自身も、「まずできることを一つずつやっていこう」という姿勢を忘れずに取り組んできました。
これから活動を始める方も、ぜひ完璧を目指すのではなく、一歩踏み出すことを大切にしてみてください。
4.小さな活動でも、誰かにとっては大きな支えになる
多くのNPO活動者の方から、「自分の活動なんて小さいのではないか」「大したことができていないのでは」という声をよく耳にします。
けれども、それは自分目線での評価にすぎません。
その活動は、誰かにとっては大きな支えになっているかもしれないのです。
私自身も、NPO法人の初期に無料塾を開設したとき、「この程度の内容で本当に役に立つのだろうか?」と自信がありませんでした。
ところが、後日いただいた保護者のアンケートには、たくさんの温かい感想が寄せられ、その言葉に心から励まされたことを今でも忘れません。
小さな活動でも、必ず誰かの力になっている。
そのことを大切に胸にとめて、焦らず、地道に活動を続けていきましょう。
こんな時期もありました(しんどかったこと)
設立当初の私は、ただ「経済的に恵まれない子どもたちを救いたい!」という気持ちだけで突き進んでいました。
けれども、仕組み作りや運営の工夫といった発想は、当時はまったくありませんでした。
資金や人手が足りない状況のなか、悩んだ末に一度は「子どもたちから授業料を取るべきだろうか」と考えてしまった時期さえあります。
しかし、それではNPO法人としての意義や理念が薄れてしまうことに気づき、何とか思いとどまりました。
どんな分野のNPO法人でも、活動が苦しくなると本来の目的からズレてしまう場面はあるものです。
そんな時こそ、一度初心に立ち返り、「なぜこの活動を始めたのか」「誰のためにやっているのか」を見つめ直すことがとても大切だと、私は実感しています。
「続ける」ために心がけていること
ここまでいろいろとお話してきましたが、実は当時の私は何ひとつうまくできていませんでした。
それでも状況を改善できたのは、信頼できる「実際にNPO法人を運営している方」に相談したからです。
その経験から、リアルな現場の声に学ぶことの大切さを痛感しました。
NPO法人の運営については、インターネットの情報だけでは限界があります。
また、運営経験のない方にいくら詳しく話を聞いても、実務的な共感や具体的な知恵は得られにくいのが現実です。
だからこそ、今まさに現場で活動している方のリアルな声に耳を傾けることがとても重要です。
私たちアスタノ行政書士事務所は、現役でNPO法人の運営に全力で取り組んでいる行政書士事務所です。
その経験をもとに、皆さんのお気持ちに寄り添いながら、実践的なサポートを提供できると自信を持っています。
これからNPO法人の運営を始める方や、活動の継続に悩んでいる方に、ぜひお役立ていただきたいと思っています。
まとめ|NPOの継続には“日々の小さな積み重ね”が必要
この記事では、NPO法人の活動を「続ける」ために大切な工夫や意識についてご紹介しました。
要点をまとめると以下の通りです。
- 社会を巻き込むことで、人手や資金の不足を乗り越えることができる
- メンバー一人ひとりに役割を持ってもらうことで、やりがいや継続意識が高まる
- 「今できること」から始める意識が、小さな一歩を大きな成果につなげる
NPO法人の運営では、理想だけでなく、現実に即した仕組みづくりと継続の工夫が重要なポイントになります。
NPO法人の活動は、成果が見えるまでに時間がかかることもあります。
だからこそ、「この活動は誰かの支えになっている」と信じて、一歩一歩進めてみてください。
また、私たちアスタノ行政書士事務所では、NPO法人の設立はもちろん、設立後の運営や継続支援にも力を入れています。
「こういうときどうしたらいいんだろう?」という疑問があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
大切なのは、相談する勇気とその最初の一歩です。
一緒に、持続可能であたたかいNPO法人づくりを目指していきましょう。