【NPO法人の活動分野】20分野の具体例と選び方を解説!

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  • NPO法人を立ち上げたいけど、自分たちの活動がどの分野に該当するのか分からない
  • フリースクールや居場所づくりをしているけど、目的と分野の関係が曖昧なままになっている
  • 書類を書くたびに「この分野で合ってるのかな」と不安になる

NPO法人の設立や事業報告に欠かせない「活動分野の選定」ですが、目的や内容によってはどの分野に当てはまるか判断が難しいこともあります。

この記事を書いた人

目﨑 敦也(めざき あつや)
アスタノ行政書士事務所

現役NPO法人理事長として、子ども支援団体NPO法人Unityを運営中。行政書士として、NPO法人の設立から助成金申請・運営サポートまで幅広く対応。

これからNPO法人を立ち上げたい方や、運営に悩む方をサポートしています。現場の経験をもとに、わかりやすくお伝えします。

本記事では、NPO法で定められた20の活動分野の内容と具体例、そして自分たちの活動に合った分野の選び方や注意点についてわかりやすく解説しています。

この記事を読むことで、自分の活動がどの分野に該当するのかをスムーズに判断でき、申請や事業運営のミスを防ぐことができます。

活動分野の選定は「何を目的として活動しているのか」を軸に考えることが、NPO法人運営の第一歩です。

目次

NPO法で定められた20分野とは

NPO法人は、営利を目的とせず、社会課題を解決や地域の活性化など、公益的な活動を行う法人です。

そのため、NPO法では「どんな目的の活動がNPO法人として認められるのか」を定めており、これがが「20の活動分野」と呼ばれています。

NPO法人を設立する際には、自分たちの活動が20分野のどれに当てはまるのかを選ぶ必要があります。

また、選んだ分野によって、利用できる助成金や支援制度が変わってくることもあるので、はじめの段階でしっかりと確認しておくことが大切です。

NPO法人の20の活動分野一覧【具体例付き】

NPO法で定められた「20の活動分野」は、以下のとおりです。

  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  2. 社会教育の推進を図る活動
  3. まちづくりの推進を図る活動
  4. 観光の振興を図る活動
  5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  7. 環境の保全を図る活動
  8. 災害救援活動
  9. 地域安全活動
  10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  11. 国際協力の活動
  12. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  13. 子どもの健全育成を図る活動
  14. 情報化社会の発展を図る活動
  15. 科学技術の振興を図る活動
  16. 経済活動の活性化を図る活動
  17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  18. 消費者の保護を図る活動
  19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

NPO法人の20の活動分野について、それぞれの概要と具体的な活動例を交えながら、わかりやすくご紹介します。

1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動

高齢者や障がいのある方、病気を抱える人など、日常生活に何らかの支援が必要な方々をサポートする活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 高齢者への介護サービス
  • 障がい者の就労支援や生活支援
  • 地域での健康相談会やリハビリ教室

2.社会教育の推進を図る活動

子どもから大人まで、学校以外の場で学ぶ機会を広げることを目的とした活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 子ども向けの学習支援やフリースクールの運営
  • 地域住民向けの講座やワークショップ
  • 読書推進活動や家庭教育に関する相談支援

3.まちづくりの推進を図る活動

地域に暮らす人たちが安心して生活できるよう、住みやすい環境を整えていく活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 空き家や空き店舗を活用した地域コミュニティスペースの運営
  • 地域イベントの企画・運営
  • 商店街の活性化を目的とした取り組み

4.観光の振興を図る活動

地域の魅力を発信し、訪れる人を増やすことで、地域経済の活性化や人の交流を促す活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 地元の歴史や文化を紹介する観光ガイドツアーの企画・運営
  • 地域特産品を活用したイベントやマルシェの開催
  • 空き家や古民家を活用した民泊や宿泊体験の提供

5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

人口減少や高齢化が進む農村、山間部、漁村などの地域において、暮らしや産業を支え、地域の活性化を目指す活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 町おこし・村おこしを目的とした地域振興活動
  • 地元農産物のブランド化や直売所の運営
  • 都市住民との交流を目的とした農業・漁業体験イベント

6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

知的な探求や創造的な表現、スポーツなどを通じて、人々の豊かな心や地域のつながりを育む活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • サッカーや野球などのスポーツクラブの運営
  • 伝統芸能や地域文化の継承活動
  • 音楽・演劇・美術などの文化・芸術活動

7.環境の保全を図る活動

自然や生活環境を守り、次の世代へと引き継いでいくことを目的とした活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 河川や公園の清掃活動
  • 自然観察会や環境教育イベントの開催
  • 地元産の資源を活用したエコ商品の開発・販売

8.災害救援活動

地震や台風、大雨などの自然災害が発生した際に、被災地の支援や復旧を目的として行われる活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 被災地への支援物資の提供や炊き出しの実施
  • 避難所の運営サポートやボランティア派遣
  • 防災訓練や防災マップづくりなどの啓発活動

9.地域安全活動

子どもから高齢者まで、誰もが安心して暮らせる地域づくりを目指す活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 子どもの登下校時の見守りやパトロール活動
  • 高齢者向けの交通安全教室や防犯講座の開催
  • 防犯グッズの配布や普及啓発を行う活動

10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動

すべての人が差別なく尊重され、安心して暮らせる社会をつくることを目指す活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 外国人や難民などへの生活・就労支援
  • ジェンダー平等やLGBTQ+への理解を深める講座の開催
  • 戦争体験の継承や平和教育を目的としたイベントの開催

11.国際協力の活動

国境を越えた人道的支援や教育・医療・生活環境の向上を目指す活動や、日本国内で暮らす外国人の支援や多文化共生を進める取り組みが、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 海外の子どもたちへの教育支援や学校建設
  • 日本に住む外国人への生活支援や日本語教室の運営
  • 多文化共生をテーマにした国際交流イベントの開催

12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

性別にかかわらず、すべての人が個性と能力を十分に発揮し、対等な立場で社会に参加できるようにするための活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 女性のキャリア支援や起業支援セミナーの開催
  • 家事・育児・介護の負担を家庭内で見直すための啓発活動
  • ジェンダーに関する理解を深める講座や勉強会

13.子どもの健全育成を図る活動

すべての子どもが心身ともに健やかに成長できるよう、家庭・学校・地域が協力して支えていく活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 子どもの居場所づくりや学習支援の運営
  • ひとり親家庭やヤングケアラーへの生活支援
  • 子ども食堂や体験型イベントの開催

14.情報化社会の発展を図る活動

誰もが情報やデジタル技術を安全かつ適切に活用できるよう支援する活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 高齢者向けのスマートフォン講座やデジタル機器の使い方支援
  • 子どもや保護者を対象にした情報モラル教育やSNSの安全な使い方の啓発
  • 地域のITサポートセンターの運営やICT活用支援

15.科学技術の振興を図る活動

新しい技術を開発して普及させる取り組みや、現在あまり活用されていないものの、優れた技術を広く社会に広めていく活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 新たな技術や製品の社会実装に向けた研究開発と普及活動
  • 地域課題を解決するためのテクノロジー導入・実証実験
  • 科学技術の魅力を伝える展示会やサイエンスイベントの開催

16.経済活動の活性化を図る活動

地域の産業や商業の振興、中小企業や個人事業主の支援などを通じて、地域経済を元気にすることを目的とした活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 商店街や地元企業と連携したイベントや販促活動の企画・運営
  • 起業を目指す人への支援や創業スクールの開催
  • 地場産品のブランド化や販路開拓のサポート

17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

働きたい人が自分に合ったスキルを身につけ、安定した仕事に就けるよう支援することを目的とした活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 就職を目指す人のための職業訓練やキャリア支援講座の開催
  • 子育て世代やシニア世代の再就職を支援する相談窓口の運営
  • 地域企業と連携したインターンシップや職業紹介の仕組みづくり

18.消費者の保護を図る活動

商品やサービスの購入に関するトラブルを防ぎ、消費者が安心して暮らせる社会をつくることを目的とした活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 契約トラブルや悪質商法に関する啓発セミナーの開催
  • 高齢者や若者を対象にした消費者教育や注意喚起活動
  • 消費生活に関する相談窓口や専門家によるサポートの提供

19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

NPO法人をはじめとする公益的な活動を行う団体を、裏方として支援する活動が、この分野に当てはまります。

例えば、次のような活動が該当します。

  • 団体の立ち上げ・運営に関する相談支援や助言
  • 助成金申請や会計・広報に関するセミナーの開催
  • 市民活動を支援する中間支援センターの運営

20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

NPO法で定められた19の活動分野には直接当てはまらないものの、それに準じて公益性が高いと認められた活動について、各自治体が条例で個別に定めた活動が、この分野に当てはまります。

活動分野の選び方と注意点

活動分野は、ひとつに絞る必要はなく、複数の分野にまたがる場合は該当するものをすべて記載して問題ありません。

また、選んだ活動分野によって、受けられる助成金や行政の支援制度が異なることがあります。

たとえば、小学生から高校生を対象にしたフリースクールを運営している場合、「子どもの健全育成を図る活動」と「社会教育の推進を図る活動」の両方に該当する可能性があります。

まとめ|団体にあった活動分野を見つけよう

この記事では、NPO法人における活動分野の種類と選び方や注意点について解説しました。

要点をまとめると、以下の通りです。

  • NPO法人の活動分野は法で定められた20種類があり、それぞれに具体的な社会課題があります
  • 活動分野は複数選択可能で、目的に応じて適切な分野を記載することが重要です
  • 選んだ分野によって受けられる支援制度や助成金が変わるため、慎重な検討が必要です

NPO法人の活動分野では、「活動の手段」ではなく「目的」で考えることが重要なポイントとなります。

NPO法人の設立を目指す際は、ぜひこのポイントを押さえて、自分たちの活動の目的に最も合った分野を整理してみてください。

さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

自分の団体がどの活動分野に当てはまるのかわからない…」と迷われる方も少なくありません。

そんなときは、NPO法人の理事長であり行政書士でもある私が、実務の視点から丁寧にご相談をお受けします。どうぞお気軽にご相談ください。

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