【テンプレ付】NPO法人の設立総会の流れと議事録の書き方

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  • NPO法人の設立に向けて準備を進めているが、総会の進め方がよくわからない
  • 議事録の書き方に自信がなく、差し戻されないか不安
  • ネットで調べても、情報が断片的で余計に混乱してしまった

NPO法人の設立では「設立総会」と「議事録作成」が大きな山場ですが、意外とこの部分でつまずく方が多いのが実情です。

この記事を書いた人

目﨑 敦也(めざき あつや)
アスタノ行政書士事務所

現役NPO法人理事長として、子ども支援団体NPO法人Unityを運営中。行政書士として、NPO法人の設立から助成金申請・運営サポートまで幅広く対応。

これからNPO法人を立ち上げたい方や、運営に悩む方をサポートしています。現場の経験をもとに、わかりやすくお伝えします。

この記事では、NPO法人の設立総会の流れと、議事録の正しい書き方・注意点についてわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、設立総会をスムーズに運営し、差し戻しのない議事録を作成するための具体的なポイントが理解できます。

結論として、事前の準備と記録の正確さが、NPO法人設立成功のカギです。

目次

設立総会とは?|NPO法人設立の「最終確認をする会議」

設立総会は、NPO法人として正式にスタートするための「最終確認の場」です。

この総会で決定された内容は、「設立総会議事録」として記録し、所轄庁への設立申請時に、他の必要書類とあわせて提出する必要があります。

設立総会では、主に以下の項目について、正会員の確認・承認を受けることが求められます。

  • NPO法人を設立する背景・目的について
  • 役員について
  • 定款について
  • 事業計画書・活動予算書・財産目録について
  • 設立代表者について
  • 事務所の所在地について

設立総会の流れ|4ステップ

設立総会を開催するにあたっては、以下の手順で進めていきます。

  1. 開催日時・場所の決定
  2. 議案と必要な資料の作成
  3. 資料の配布・事前共有
  4. 設立総会の実施

1:開催日時・場所の決定

設立総会は、できるだけ全員が参加しやすい日時・場所を選ぶことが大切です。

特に、次のような点を意識すると、スムーズに調整できます。

  • 日時:参加者の都合がつきやすい時間帯(平日の夜や週末など)
  • 場所:対面orオンライン(Zoomなど)のいずれかで検討

どうしても参加できないメンバーがいる場合は、委任状を提出してもらい、議決権を他の出席者に委任するという方法も認められています。

2:議案・配布資料の準備

設立総会では、あらかじめ議案と必要な資料を準備し、参加者へ事前に共有する必要があります。

特に以下の資料は、必ず準備・共有しておきましょう。

  1. 定款案
  2. 設立趣旨書
  3. 事業計画書・活動予算書案(2年分)
  4. 財産目録案
  5. 役員候補者一覧
  6. 議案書

議案書とは、設立総会で扱う議題(議案)の内容をまとめた資料です。

主な議案の内容は、以下のような項目になります。

  • NPO法人を設立する背景・目的について
  • 役員について
  • 定款について
  • 事業計画書・活動予算書・財産目録について
  • 設立代表者について
  • 事務所の所在地について

なお、定款、設立趣旨書、事業計画書・活動予算書の作成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。(※設立趣旨書、事業計画書・活動予算書は準備中)

3:資料の配布・事前共有

作成した資料は、設立総会の数日前(目安として最低でも5日前)までに、参加者全員に共有する必要があります

資料の共有方法としては、以下のような手段があります。

  • PDFにして、メールで送信する
  • 印刷して、事前に手渡しまたは郵送する
  • Googleドライブなどにアップロードし、共有リンクを送る

4:設立総会の実施

準備が整い、いよいよ設立総会当日を迎えたら、事前に配布した資料や議案書に沿って会議を進行します。

基本的には、議長(設立総会の進行役)を選出し、その後、各議案について順番に確認・承認を行っていきます。

設立総会議事録の作成方法

設立総会を終えたら、「設立総会議事録」を作成する必要があります。

この議事録は、他の必要書類とあわせて所轄庁(行政庁)へ提出します。

議事録には、以下の項目を記載しましょう。

  1. 日時
  2. 場所
  3. 出席者数
  4. 議長の選任
  5. 議事
  6. 議事録署名人or議事録記名人の選任

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

議事録のイメージは、以下のとおりです。

1:日時

1.日時

〇年 〇月 〇日
〇時 〇分から 〇時 〇分まで

設立総会を実施した日時を記載します。

2:場所

2.場 所

○○会館 ○会議室

設立総会を実施した場所を記載します。

3:出席者数

3.出席者数

○○名(うち委任状出席者数 ○○名)

設立総会に出席した正会員の人数を記載します。

また、出席者のうち委任状による出席となった人数もあわせて記載しましょう。

4:議長の選任

4:議長の選任

特定非営利活動法人○○○○を設立するため、上記のとおりの者が出席した。
議長を選出すべく、全員で互選したところ○○○○が選ばれ、本人はこれを承諾し、議長席に着き、特定非営利活動法人○○○○の設立総会の開会を宣言し、議事に入った。

この項目では、総会の進行役である「議長」をどのように選出したかを記載します。

通常は、代表権を持つ予定の理事(理事長や代表理事)を議長とすることが多いです。

記載内容・変更内容

特定非営利活動法人○○○○:設立する予定のNPO法人の正式名称を記載

○○○○が選ばれ:議長を務めた理事(通常は代表予定者)の氏名

5:議事

第1号議案 特定非営利活動法人○○○○設立認証申請の件

第1号議案 特定非営利活動法人○○○○設立認証申請の件

議長は、設立趣旨書を朗読し、本法人設立の趣旨及び目的を説明した上で、本法人設立に関する承認を全員に諮ったところ、全員異議なくこれを承認し、本案は可決された。

この項目では、NPO法人を設立する趣旨や目的を説明し、その設立について出席者の承認を得た旨を記載します。

記載内容・変更内容

特定非営利活動法人○○○○:設立する予定のNPO法人の正式名称を記載

第2号議案 活動目的等の確認の件

第2号議案 活動目的等の確認の件

議長は、本法人が、特定非営利活動促進法第2条第2項第2号及び同法第 12 条第1項第3号のいずれにも該当することについて、全員に諮ったところ、全員異議なくこれを承認し、本案は可決された。

この項目では、法令上の活動要件を満たしていることの確認と、その承認結果を記載します。

記載内容・変更内容

特になし

第3号議案 設立当初の役員承認の件

第3号議案 設立当初の役員承認の件

議長は、設立当初の役員の人選について、案を示し全員に諮ったところ、全員異議なく承認し、本案は可決された。

この項目では、役員(理事・監事)の人選内容について承認したことを記載します。

記載内容・変更内容

特になし

第4号議案 定款承認の件

第4号議案 定款承認の件

議長は、定款案を朗読し全員に諮ったところ、全員異議なくこれを承認し、本案は可決された。

この項目では、NPO法人の基本ルールを定めた定款について、出席者全員の承認を得たことを記載します。

記載内容・変更内容

特になし

具体的な定款の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

第5号議案 設立当初の財産目録承認の件

第5号議案 設立当初の財産目録承認の件

議長は、設立当初の財産目録の案を示し、その承認を求めたところ全員異議なくこれを承認し、本案は可決された。

この項目では、法人設立時点で保有する財産の状況をまとめた「財産目録」の内容について、出席者全員の承認を得たことを記載します。

記載内容・変更内容

特になし

具体的な財産目録の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。(準備中)

第6号議案 設立の初年度及び翌年度の事業計画書承認の件

第6号議案 設立の初年度及び翌年度の事業計画書承認の件

議長は、設立の初年度及び翌年度の事業計画書の案を示し、その承認を求めたところ全員異議なくこれを承認し、本案は可決された。

この項目では、法人設立後の初年度および翌年度に実施予定の事業内容をまとめた「事業計画書」の案を、承認したことを記載します。

記載内容・変更内容

特になし

具体的な事業計画書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。(準備中)

第7号議案 設立の初年度及び翌年度の活動予算書承認の件

第7号議案 設立の初年度及び翌年度の活動予算書承認の件

議長は、設立の初年度及び翌年度の活動予算書の案を示し、その承認を求めたところ全員異議なくこれを承認し、本案は可決された。

この項目では、法人設立後の初年度および翌年度に予定されている活動に必要な経費や収入の見込みをまとめた「活動予算書」の案を、承認したことを記載します。

記載内容・変更内容

特になし

具体的な活動予算書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。(準備中)

第8号議案 設立代表者の選任の件

第8号議案 設立代表者の選任の件

議長は、設立代表者を選任し設立に関する一切の権限を委任したい旨を述べたところ、全員これを異議なく承認し、設立代表者を互選したところ、次の者が選任され、被選任者はその就任を承諾した。
設立代表者 △△△△
なお、議長から設立認証申請の手続のために、定款その他の書類について原案の骨子に変更のない程度の字句の修正については設立代表者に一任することを諮ったところ、全員異議なく承認された。

この項目では、所轄庁に対する設立認証申請などの手続きを一任する「設立代表者」を正式に選任したことを記載します。

また、申請に必要な書類(定款や議事録等)の文言修正など、軽微な変更について、設立代表者に一任することの同意を得た経緯もあわせて記載します。

記載内容・変更内容

設立代表者 △△△△:設立代表者に選任された者の氏名(通常は代表予定者)

第9号議案 事務所の所在地の件

第9号議案 事務所の所在地の件

議長は、この法人の主たる事務所の所在地(及びその他の事務所の所在地)を次のとおり定めることを示し、その承認を求めたところ、全員異議なく承認し、本案は可決された。
主たる事務所の所在地 大阪市○○区○○○丁目○番○号

この項目では、NPO法人の主たる事務所の所在地(法人の住所)を正式に決定し、その承認を得たことを記載します。

記載内容・変更内容

主たる事務所の所在地 大阪市○○区○○○丁目○番○号:主たる事務所の正式な住所を記載します。定款に記載する住所と完全一致にさせましょう。

6:議事録署名人or議事録記名人の選任

議長より、本日の議事をまとめるに当たり、議事録署名人2名を選任することを諮り、
以下のとおり、全員異議なく承認した。
選任された議事録署名人 ○○○○、○○○○

議長は、以上をもって特定非営利活動法人○○○○の設立に関するすべての議事を終了した
旨を述べ、閉会を宣した。

以上の議事の要領及び結果を明確にするため、議長及び議事録署名人は、次に署名又は記名
押印をする。

〇 年 〇月 〇日

議 長 〇〇〇〇
議事録署名人 〇〇〇〇
議事録署名人 〇〇〇〇

この項目では、議事録の正当性を担保するために必要な手続きとして、「議事録署名人の選任」および「閉会の宣言」「署名・記名押印」を記載します。

記載内容・変更内容

特定非営利活動法人○○○○:設立する予定のNPO法人の正式名称を記載

○年○月○日:議事録に署名または記名押印した日付を記載

議長 ○○○○:議長の氏名を署名または記名押印

議事録署名人 ○○○○(2名分):議事録署名人の氏名を署名または記名押印

議事録署名人・議事録記名人:定款に応じて「記名人」と表記する場合もあります

よくあるミスと留意点

ここでは、実務でよく見られる設立総会議事録のミスについて解説します。

内容に不備があると、所轄庁から申請を差し戻され、法人設立が大幅に遅れる可能性もあるため、十分に注意が必要です。

法人名・所在地が他書類と一致していない

法人名や所在地が、定款などの他の書類と一致していないケースがあります。

すべての書類で完全に一致しているかを必ず確認しましょう。

日付の整合性がとれていない

設立総会の日付が、議長や議事録署名人の署名・記名押印の日付よりも後になっている場合があります。

総会が開催された日付を基準に、全体の時系列が矛盾していないかを確認することが大切です。

署名・記名押印の形式が定款と異なる

定款に「署名」と記載されているのに「記名押印」していたり、逆に「記名押印」とされているのに「署名」のみになっているケースがあります。

定款に記載された様式(署名または記名押印)に必ず従う必要があるため、よく確認しておきましょう。

設立総会議事録&議案書テンプレートを無料公開

設立総会議事録および議案書のテンプレートを公開します。

必要に応じて、自由にご活用ください。

また、所轄庁によっては独自の様式を配布している場合もありますので、事前に確認のうえ、そちらの様式を利用することもおすすめします。

まとめ|設立総会は「流れ」と「議事録の正確さ」が重要

この記事では、NPO法人設立における「設立総会」の基本的な流れと、議事録作成のポイントについて解説しました。

要点をまとめると以下の通りです。

  • 設立総会では、事前の書類準備と参加者への共有が重要
  • 当日は、あらかじめ用意・共有した議案や資料に沿って議事を進行
  • 議事録には、各議案の可決内容を正確に記載し、署名・日付・他書類との整合性をしっかり確認すること

NPO法人の設立総会では、「議案の明確化」「資料の整備」「議事録の正確な記録」が重要なポイントとなります。

設立総会では、ぜひこのポイントを押さえて、安心して法人設立の手続きを進めてください。

さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

「設立総会議事録がうまく書けるか不安…」と感じている方も少なくありません。

そんなときは、NPO法人の理事長であり行政書士でもある私が、実務の視点から丁寧にサポートいたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

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