【テンプレ付】NPO法人の事業計画書の書き方|構成・記載例・注意点を解説

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  • 事業計画書って、何から書けばいいのかわからない…
  • 設立初年度って、いつからの計画を書けばいいの?
  • 定款とズレていて差し戻されたらどうしよう…

NPO法人の設立申請には「事業計画書」の提出が必要ですが、書き方や考え方に迷う方が少なくありません。

この記事では、事業計画書の基本構成・書き方のコツ・よくあるミスや注意点を具体例とともに解説します。

この記事を読むことで、行政庁に提出できるレベルの事業計画書を、自信を持って作成できるようになります。

申請の差し戻しを防ぎ、スムーズな設立を目指しましょう。

目次

事業計画書とは?|誰に・何を・どのようにやるかをまとめた書類

事業計画書とは、「誰に・何を・どのように」活動を行うかをまとめた書類で、NPO法人を設立する際に所轄庁へ提出する必要があります。

この書類は、設立初年度と翌年度の2年分を作成することが求められています。

事業計画書には、活動の目的実施方針はもちろん、いつ・どこで・誰に向けて・どんな内容の事業を行うのか、さらにその収支の見込みまで、具体的に記載することが必要です。

事業趣旨書のイメージは、以下のとおりです。

事業計画書の書き方|2つのパートに分けて解説

事業計画書は、大きく分けて「事業の実施方針」と「各事業の具体的な内容」の2つのパートに分かれます。

それぞれの項目の書き方について、フリースクール事業を例に詳しく解説します。

事業の実施方針

【初年度】

 設立初年度は、法人としての事業基盤を整備することを目的に、行政機関や民間団体との連携を図るとともに、広報活動にも力を入れ、活動の認知向上と利用者の拡大を目指す。また、活動内容に関するマニュアルを作成し、内部体制の整備も進める。

【翌年度】

 翌年度は、初年度の活動を通じて明らかになった課題を改善しながら、引き続き他機関との連携や広報活動を継続し、認知度の向上を図る。また、活動内容のさらなる充実を目指し、初年度の実績をもとに寄付の募集や助成金申請にも取り組んでいく。

実施方針では、NPO法人としてどのような目的で、どのような活動を行うのかといった、団体全体の方向性を記載します。

初年度には、事業基盤を整備することを目的として、どのような取り組みを行うかを記載します。

翌年度には、初年度の活動を通じて生じた課題の改善に加え、プラスアルファでどのような発展的な取り組みを行うかを示すことで、事業計画全体に一貫性と説得力が生まれます。

事業の具体的な内容

【初年度】

 設立初年度は、法人としての事業基盤を整備することを目的に、行政機関や民間団体との連携を図るとともに、広報活動にも力を入れ、活動の認知向上と利用者の拡大を目指す。また、活動内容に関するマニュアルを作成し、内部体制の整備も進める。

【翌年度】

 翌年度は、初年度の活動を通じて明らかになった課題を改善しながら、引き続き他機関との連携や広報活動を継続し、認知度の向上を図る。また、活動内容のさらなる充実を目指し、初年度の実績をもとに寄付の募集や助成金申請にも取り組んでいく。

事業の内容では各事業について、いつ・どこで・誰に・どのような内容を実施するのか、さらにその収支見込みなどを具体的に記載します。

各事業ごとに、下記の項目を整理して記載します。

事業名

(1)フリースクール事業

定款に記載されている事業名称をそのまま記載します

内容

【内容】不登校の子どもの居場所・体験や学習の場を提供

事業の活動内容について、できるだけ具体的に記載します

実施場所

【実施場所】○○市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

事業を実施する場所(施設名や地域名など)を記載します

実施日時

【実施日時】平日:10~16時

事業の実施日や頻度を記載します

事業の対象者

【事業の対象者】不登校の小学生~高校生

事業の参加者・利用者として想定している対象を記載します

収益

【収益】6,480,000円(1人あたり利用料@30,000円/月×12ヶ月×18人)

事業に関する収入の総額およびその内訳を記載します

費用

【費用】6,480,000円

(内訳)
人件費:400,000円/月×12ヶ月=4,800,000円
家賃:100,000円/月×12ヶ月=1,200,000円
水道光熱費:10,000円/月×12ヶ月=120,000円
通信費:10,000円/月×12ヶ月=120,000円
旅費交通費:10,000円/月×12ヶ月=120,000円
消耗品費:10,000円/月×12ヶ月=120,000円

事業にかかる費用の総額と内訳を記載します

「その他の事業」について

NPO法人の事業は、大きく「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」の2つに分類されます。

「特定非営利活動に係る事業」とは、NPO法に定められた20の活動分野に該当する事業です。

一方、「その他の事業」は、これら以外の収益性のある補助的な事業を指します。

なお、事業計画書においては、定款で「その他の事業」を定めていない場合、その内容を記載する必要はありません

事業計画書でよくある落とし穴と注意すべきポイント

ここでは、実務でよく見られる事業計画書でよくある落とし穴と注意すべきポイントについて解説します。

内容に不備があると、所轄庁から申請を差し戻され、法人設立が大幅に遅れる可能性もあるため、十分に注意が必要です。

設立初年度の事業計画書は「4ヶ月後」からの開始を想定する

NPO法人を設立するまでには、申請書の受理から公表・縦覧などの手続きがあり、全体として3~4ヶ月程度かかるのが一般的です。

そのため、設立初年度の事業計画書を作成する際は、「今から約4ヶ月後」を開始時期として想定することをおすすめします。

事業計画書の事業名と定款の事業名が一致していない

事業計画書の事業名と定款の事業名が一致していないと差し戻しの原因となります

そのため、定款に記載されている事業名と一致していることを確認しましょう

事業計画書と活動予算書の収支が一致していない

事業計画書と活動予算書の数値が一致していないケースがあります。

事業費の内訳と活動予算書の勘定科目と金額が一致していることを確認しましょう

具体的な活動予算書の書き方については以下の記事で詳しく解説しています(※準備中)

【例文付】事業計画書テンプレートを無料配布

事業計画書のテンプレートを例文付きで無料配布します。

必要に応じて、自由にご活用ください。

また、所轄庁によっては独自の様式を配布している場合もありますので、事前に確認のうえ、そちらの様式を利用することもおすすめします。

まとめ|事業計画書は「伝わる」かたちで構成と整合性がカギ

この記事では、NPO法人の事業計画書の基本構成と書き方、よくあるミスとその対策について解説しました。

要点をまとめると、以下のとおりです。

  • 事業計画書は、設立から約4か月後の開始を見据えて作成する
  • 事業名は定款と一致させ、各事業について個別に具体的に記載する
  • 活動予算書との整合性を確認し、収支の不一致を防ぐ

NPO法人の設立申請では、「計画性」「実現可能性」「整合性」が重要なポイントとなります。

事業計画書では、ぜひこのポイントを押さえて、差し戻しのない、伝わる申請書づくりに取り組んでみてください。

さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

活動予算書の書き方|勘定科目の整理と見せ方のコツ※準備中

「事業計画書がうまく書けるか不安…」と感じている方も少なくありません。

そんなときは、NPO法人の理事長であり行政書士でもある私が、実務の視点から丁寧にサポートいたします。

どうぞお気軽にご相談ください。

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